ISO 9001:2015要求事項７つの基本ガイド

ISO9001で要求されることってどんなこと？

ISO 9001:2015は、品質マネジメントシステムの国際規格で、企業や組織が品質を向上させ、顧客満足度を高めるための指針を提供します。この記事では、ISO 9001:2015の基本的な要求事項について、初心者の方々にわかりやすく説明します。

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ISO　9001：2015（JIS　Q　9001：2015）要求事項の解説（Management　system　ISO　series） [ 中条武志 ]
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1. ISO 9001:2015要求事項の概要
2. 各要求事項の詳細説明
ISO 9001:2015要求事項７つの基本ガイド～まとめ～

1. ISO 9001:2015要求事項の概要

1.コンテキストの理解 (Context of the Organization)
組織の内外部の状況や関係者のニーズを理解し、組織の目的と戦略を確立します。

2.リーダーシップ (Leadership)
組織の指導的立場者が品質方針を策定し、組織の方向性を示します。

3.計画 (Planning)
リスク評価や機会の特定、目標の設定など、組織の計画プロセスを確立します。

4.サポート (Support)
資源管理、知識の共有、コミュニケーションの確保など、組織をサポートする体制を整えます。

5.運用 (Operation)
製品やサービスの提供プロセスを確立し、品質要求事項を満たすように実施します。

6.性能評価 (Performance Evaluation)
プロセスや製品の性能をモニタリングし、顧客満足度やプロセスの効率性を評価します。

7.改善 (Improvement)
内部監査や管理レビューを通じて継続的な改善を促進し、品質マネジメントシステムを最適化します。

2. 各要求事項の詳細説明

2-1.コンテキストの理解 (Context of the Organization)

組織の状況分析や関係者のニーズの把握を行います。外部環境や内部状況を考慮して組織の方針を決定します。

コンテキストの理解 (Context of the Organization)とは？

組織の「コンテキストの理解」とは、組織が活動する状況や外部・内部の要因、関係者の期待や要求を理解することを指します。つまり、組織は自身の活動が展開される環境を正確に把握し、それに適応することで、より効果的に運営できるようになります。

1.外部の要因（外部コンテキスト）
市場状況と競争状態:組織が提供する製品やサービスが市場でどのように位置づけられ、競合他社との差別化ポイントを理解する必要があります。
法的規制と規制環境:組織の活動に影響を及ぼす法律や規制、業界標準などの環境を把握し、法的要求事項を満たす必要があります。
経済的要因:世界経済や国内経済の状況、通貨の安定性などの経済要因を把握し、リスクを管理し、戦略を立てます。

2.内部の要因（内部コンテキスト）
組織の文化と価値観: 組織内部の文化、価値観、ミッション、ビジョンを理解し、それに基づいて組織の方針を決定します。
組織のリソース: 人員、技術、施設、財政などのリソースを評価し、これらのリソースを最適に活用する方法を考えます。
組織のプロセスと構造: 組織内のプロセス、手続き、役割分担、意思決定構造などを理解し、それらを改善する方法を模索します。

3.関係者の要求と期待（関係者のコンテキスト）
顧客の要求: 顧客が求める製品やサービスの質、価格、納期などの要求を理解し、それに応える方法を見つけます。
株主の期待: 株主や投資家の期待や組織への投資に対するリターンについて理解し、組織の戦略をこれに合わせて調整します。
従業員のニーズ: 従業員のスキル、モチベーション、働きやすさなどのニーズを考慮し、組織内の人的資源を最適化します。

4.なぜこれが重要なのか？
組織が外部環境と内部状況を正確に理解し、関係者の期待や要求に応えることで、戦略的な方針を適切に設定し、リスクを最小限に抑えながら持続可能な成功を達成することができます。コンテキストの理解を通じて、組織は変化する環境に適応し、持続可能な競争優位性を確保する土台を築くのです。

2-2.リーダーシップ (Leadership)

組織の指導的立場者は、品質マネジメントシステムの方針を策定し、組織全体での遵守を促進します。

リーダーシップ (Leadership)とは？

リーダーシップは、組織内で方向性を示し、目標達成に向けて人々を導く能力やプロセスを指します。組織のリーダーは、組織のビジョンと目的を明確にし、チームや従業員を指導して、共有の目標に向かって協力を促進します。リーダーシップは指導的地位にある人だけでなく、チームの一員やプロジェクトのリーダー、さらには自己リーダーシップ（自己管理能力）にも関連しています。

1.リーダーシップの要素

1. ビジョンと目標の設定:
リーダーは組織の未来のビジョンを明確にし、それを達成するための具体的な目標を設定します。ビジョンは組織の方向性を示し、共通の理念を提供します。

2. インスピレーションとモチベーション:
リーダーはチームメンバーや従業員を鼓舞し、モチベーションを高めます。成功への信念や情熱を共有し、チームの目標に向かって共に努力する気持ちを醸成します。

3. コミュニケーション:
効果的なリーダーはコミュニケーション能力に優れ、情報を明確かつ適切に伝えることができます。チーム内外でのコミュニケーションを円滑にし、意見やフィードバックを受け入れる姿勢を持ちます。

4. チームビルディング:
リーダーはチームの一体感を醸成し、メンバー間の信頼関係を築きます。個々の強みを活かし、協力して目標を達成するための環境を作り出します。

5. 問題解決と決断力:
リーダーは問題を的確に分析し、迅速な決断を下す能力を持ちます。時にはリスクを取り、変革を促進することで組織を前進させます。

6. 成長とサポート:
リーダーはチームメンバーや従業員のスキルや能力の成長をサポートし、適切なトレーニングやフィードバックを提供します。人材の育成に焦点を当て、組織の持続的な成功を確保します。

2.リーダーシップの重要性

1.方針の明確化:
リーダーシップは組織の方針を示し、メンバーに明確な方向性を提供します。

2.モチベーションの向上:
効果的なリーダーシップは、チームのモチベーションを高め、共通の目標に向かって努力する姿勢を養います。

3.チームの協力:
リーダーシップはチームの協力と協調を促進し、メンバー間の信頼を築き上げます。

4.問題解決と改善:
リーダーは問題を解決し、チームのパフォーマンスを向上させるための戦略を展開します。

5.持続的な成長:
リーダーシップは組織とメンバーの持続的な成長を促進し、継続的な学習と改善を推進します。

リーダーシップは組織内での協力と目標達成に不可欠な要素であり、組織全体の成功に直結しています。効果的なリーダーシップは組織文化を形成し、持続的な競争力を築くための基盤となります。

2-3.計画 (Planning)

リスクと機会の評価を行い、組織の目標を設定し、それに向けた計画を策定します。

計画 (Planning)とは？

計画は、組織が将来の目標を達成するために必要な行動を決定し、リソースを最適に活用するプロセスです。効果的な計画は、組織が方向性を確立し、リスクを最小限に抑え、変化に適応するための戦略的な枠組みを提供します。

1.計画の要素

1. 目標設定:
良い計画は具体的で実現可能な目標を設定します。目標はSMART（Specific（具体的）, Measurable（計測可能）, Achievable（達成可能）, Relevant（関連性がある）, Time-bound（時間指定された））の原則に基づいています。

2. 戦略策定:
目標達成のための方法や手段を計画します。適切な戦略を選択し、それを実現するためのステップを明確にします。

3. リスク評価と管理:
計画にはリスク評価が含まれ、潜在的なリスクを特定し、そのリスクを管理する方法が策定されます。リスクを適切に管理することで、予期せぬ問題への対応が可能となります。

4. 資源の割り当て:
人員、資金、技術などの資源を効果的に割り当て、計画の実行に必要なサポートを確保します。資源の適切な配分は計画の成功に不可欠です。

5. 実行可能性の確認:
計画は実行可能で現実的である必要があります。組織内のリソースと能力を考慮に入れ、計画が実行可能かどうかを確認します。

2.計画の重要性

1.方針の明確化:
計画は組織の方針を具体的に示し、組織の将来の方向性を明確にします。

2.資源の最適活用:
限られた資源を最適に活用し、無駄を省きながら組織の目標達成を促進します。

3.リスクの管理:
リスク評価を通じて、予期せぬ問題への対応策を計画し、リスクを最小限に抑えます。

4.変化への適応:
組織は変化する環境に適応する必要があります。計画は変化に適応するための柔軟性を持つ戦略を提供します。

5.チームの調整:
計画はチーム全体を調整し、各メンバーの役割と責任を明確にし、連携を促進します。

組織が持続的な成功を収めるためには、効果的な計画を策定し、それを実行する能力が必要です。計画は組織の未来を形作り、変化に対する準備を整え、持続的な競争力を築くための基盤となります。

2-4.サポート (Support)

必要な資源（人員、施設、技術）を確保し、組織内外部のコミュニケーションを円滑にし、知識の共有を促進します。

サポート (Support)とは？

サポートは、組織内で必要な資源や環境を提供し、従業員やチームが効果的に仕事を遂行できるよう支援するプロセスです。これには人材、設備、知識、コミュニケーションの手段など、仕事を円滑に進めるためのあらゆる形態のサポートが含まれます。

1.サポートの要素

1. 資源管理:
組織は必要な人員、資金、施設、技術などの資源を適切に管理し、プロジェクトやタスクを成功に導くためのサポートを提供します。

2. 知識の共有:
組織内での知識共有は、新しいアイディアの発展や問題の解決に不可欠です。組織は知識の共有を促進し、従業員間での学習と成長をサポートします。

3. コミュニケーションの確保:
効果的なコミュニケーションは、チーム内外の情報共有や問題解決に重要です。組織は適切なコミュニケーション手段を提供し、円滑な情報伝達を保証します。

4. トレーニングと開発:
従業員のスキルや能力を向上させ、組織のニーズに合わせたトレーニングや継続的な開発プログラムを提供することで、個人と組織の成長をサポートします。

5. ワークライフバランスの促進:
従業員の健康と幸福をサポートするため、柔軟な労働時間や休息の機会を提供することで、ワークライフバランスを促進します。

2.サポートの重要性

1.生産性の向上:
適切な資源とサポートを提供することで、従業員はより効果的に仕事に取り組むことができ、生産性が向上します。

2.モチベーションの維持:
従業員が必要な支援を受けることで、モチベーションが維持され、仕事に対する意欲が高まります。

3.チームの連携:
適切なコミュニケーション手段と知識共有は、チームの連携を強化し、共同作業を助けます。

4.スキルの向上:
資源やトレーニングを提供することで、従業員のスキルと能力が向上し、組織全体の競争力が向上します。

5.働きやすい環境:
ワークライフバランスのサポートは、従業員の健康と幸福を促進し、長期的な働きがいを持続可能にします。

サポートは組織内のエンゲージメントを高め、従業員が最高の成果を発揮できるようにするための基盤です。従業員のニーズを理解し、それに応じたサポートを提供することで、組織は持続的な成功を達成できるのです。

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2-5.運用 (Operation)

製品やサービスの提供プロセスを確立し、品質基準を満たすように実施します。

運用 (Operation)とは？

運用は、組織が日常業務を効率的かつ効果的に行うためのプロセスや活動を指します。組織の製品やサービスを提供するための基盤を築き、品質を維持し、顧客満足度を確保するための運用戦略を含んでいます。運用は計画や設計に基づいており、継続的な改善と効率化が求められます。

1.運用の要素

1. プロセスの実行:
定められた手順やプロセスに基づいて、組織の製品やサービスを提供します。これには生産、販売、顧客サポート、サプライチェーン管理などが含まれます。

2. 品質管理:
製品やサービスの品質を確保するために、品質基準を定義し、品質チェックやテストを実施します。品質の維持と改善が運用の重要な要素です。

3. リスク管理:
運用中に発生する可能性のあるリスクを評価し、それに対する対策を講じます。リスクを最小限に抑え、問題が発生した際の迅速な対応を行います。

4. 人材の管理:
適切なスキルや資格を持つ人材を配置し、必要なトレーニングやサポートを提供して、効率的かつ高品質な業務遂行をサポートします。

5. 資源の最適化:
人員、設備、原材料などの組織のリソースを最適に活用し、無駄を排除して生産性を向上させます。

2.運用の重要性

顧客満足度の維持:
効率的な運用は、顧客が満足する製品やサービスを提供するための基盤です。品質の維持や問題解決の迅速な対応は、顧客満足度に直結します。

資源の効率的な利用:
適切な運用は組織の資源を最適化し、無駄を削減します。これにより、コストを削減し、利益を最大化します。

競争力の維持:
効率的な運用は、競合他社に対抗し、市場で競争力を維持するための必要条件です。素早い製品の提供や迅速な顧客対応は市場での優位性を築きます。

継続的な改善:
運用プロセスのモニタリングと評価を通じて、問題点を特定し、プロセスを改善する機会を見つけます。継続的な改善は組織の持続的な成功に欠かせません。

運用は組織の持続的な成功において不可欠な要素であり、組織の目標達成と顧客満足度を確保するために必要な戦略的なプロセスです。適切な運用戦略は組織の競争力を高め、持続可能な成長を支えます。

2-6.性能評価 (Performance Evaluation)

定期的な監査や評価を通じて、プロセスの性能を確認し、顧客満足度や品質目標の達成度を評価します。

性能評価 (Performance Evaluation)とは？

性能評価は、組織内の個人やチーム、プロジェクトなどが設定された目標と基準に対してどれだけ効果的に作業を遂行しているかを評価するプロセスです。性能評価は、組織が目標達成度や成果を確認し、従業員の成長や改善点を把握するために行われます。このプロセスは、組織の目標に向かって進むための戦略的な方針を決定するのに役立ちます。